上部と誠。【嘘】で偽るもの。

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数ヶ月後。 廊下を歩く誠。するとC組の生徒と他の生徒が話している。 「いや、マジだって!上部のやつ…一人で逃げようとしていたんだって!あいつはやっぱりめっちゃ【うそつき】だったよ!」 自分の体験を未だに語る生徒。 学校に上部は…居ない。 そして上部は未だに【うそつき】だ。 でも本当は俺が一番【うそつき】だ。 上部が戻れない程の怪我を負っていたことも、 上部が俺の貼ったレッテルの為に帰ってきても、 【うそつき】のままであることも隠して。 最後の最後に俺は上部に嘘をついた。 【嘘も方便】なんて言葉がある。 でもそんな事無い。 仮に上部が喜んで居たとしても、 この事実を偽っていた自分への罪悪感が消えない。消える事がない。 嘘とは何だろうか? 上部は事実をあの時偽ったのだろうか? 俺は事実を偽ったのに、その事実は無く、一部の人間にはそれが俺の優しさ等と評価される。 この世界は案外事実は少なく、嘘に溢れている。 嘘はいけないことと教えられながら、 先生が生徒に嘘を。 親が子に嘘を。 政治家が国民に嘘を。 上に立つべき者が教育に反して嘘をつく世界だ。 この世界は【うそつき】で溢れている。 俺もだ。 でも、上部への贖罪の気持ち。 これだけは紛れもない、 他人にも邪魔されない、 一つの事実として、背負っていく。
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