2人が本棚に入れています
本棚に追加
数ヶ月後。
廊下を歩く誠。するとC組の生徒と他の生徒が話している。
「いや、マジだって!上部のやつ…一人で逃げようとしていたんだって!あいつはやっぱりめっちゃ【うそつき】だったよ!」
自分の体験を未だに語る生徒。
学校に上部は…居ない。
そして上部は未だに【うそつき】だ。
でも本当は俺が一番【うそつき】だ。
上部が戻れない程の怪我を負っていたことも、
上部が俺の貼ったレッテルの為に帰ってきても、
【うそつき】のままであることも隠して。
最後の最後に俺は上部に嘘をついた。
【嘘も方便】なんて言葉がある。
でもそんな事無い。
仮に上部が喜んで居たとしても、
この事実を偽っていた自分への罪悪感が消えない。消える事がない。
嘘とは何だろうか?
上部は事実をあの時偽ったのだろうか?
俺は事実を偽ったのに、その事実は無く、一部の人間にはそれが俺の優しさ等と評価される。
この世界は案外事実は少なく、嘘に溢れている。
嘘はいけないことと教えられながら、
先生が生徒に嘘を。
親が子に嘘を。
政治家が国民に嘘を。
上に立つべき者が教育に反して嘘をつく世界だ。
この世界は【うそつき】で溢れている。
俺もだ。
でも、上部への贖罪の気持ち。
これだけは紛れもない、
他人にも邪魔されない、
一つの事実として、背負っていく。
最初のコメントを投稿しよう!