2:帰り道

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 やはり辺りは桜だらけで、何輪か花が咲いているのが視界に入り込んでくる。それを忌々しく思いながら、気持ち普段より大股で歩いた。  イライラする。  どうして彼女は、今日に限ってあれほどしつこく僕を誘ったのだろうか。  僕はショックだった。  彼女だけは、僕のことを分かってくれていると思っていた。  もう本当に長い付き合いだ。彼女が僕の一年後にバイトに入って来たから、もう3年ほどになる。  明るく社交的な彼女は、誰とでもすぐに仲良くなれる、まさに僕とは正反対な人種だ。  初め僕が彼女の教育係を任されたのがきっかけで、彼女の方から積極的に話しかけてくるようになり、今日までの関係が続いていた。  彼女は人から話を聞きだすのが上手い。つい僕は、他人には言わないようなことも彼女にたくさん話した。友達が少ないことも、それこそ、花見のような集まりが嫌いなことも、就職のことだってそうである。  僕は、彼女のことをいろいろな意味で信頼していたのだ。
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