うそつきのうた。

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 でもある日、わたしはびっくりしてしまった。  おじいちゃんがうそをついたのだ。  おじいちゃんと、おばあちゃんと、いもうとのりりちゃんと、わたし。四人で、海にあそびにいったときのこと。  おじいちゃんがこう言ったのだ。 「今日は、いいおてんきだね。ななちゃんと、りりちゃんが、良い子にしていたから、かみさまがいいおてんきにしてくれたんだよ」  りりちゃんはよろこんでいたけど、わたしはよろこべなかった。  だって、空がはれたり、くもったりするのは、人間の力ではかえられない。それくらい、わたしもしってる。よいこにしていたくらいで、良いおてんきになったりなんかしない。なのにおじいちゃんはうそをついて、いもうとのりりちゃんをだました。  わたしはおじいちゃんにきいてみた。 「うそつきは、どろぼうのはじまりなんだよ。うそをついちゃいけないって、ママとパパはいってたよ。なんでおじいちゃんはうそをつくの?大人はうそをついてもいいの?」  おじいちゃんはびっくりして、そうじゃないよ、といった。 「大人も、うそはついちゃいけない。でもね、世の中には、よいうそと、わるいうそがあるんだよ。だれかを、よろこばせるためのうそなら、いってもいいんだよ」 「よろこばせるためのうそ?」 「そう。ただ、お空がはれてよかったね、というより。自分ががんばったから、あそびに行く日がおてんきになったね、っておもったら。みんなうれしいきもちになるだろう?だれかをきずつけない、幸せにするためのうそも世の中にはあるんだよ」
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