smashing! ゆめおちはおやくそくの

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smashing! ゆめおちはおやくそくの

…金縛りとかもう夢落ちって分かるこの展開な…目は見えるけど声出ないし身体も動かない。さっき帰ってきたばかりだから別にこのままでも時間的には支障は無い。だからこのままほっとくことにしよう。…それにしても知ってるようで知らない天井。いや、知ってる、なここ? オレの記憶によればここは…佐久間さんの家だ。正確にはプラス喜多村さんち。最近やっと出入り自由になって、オレには色んな意味で至福だ。でも、あれ?今日は留守番代わりに雲母さんちに帰ってる筈なんだけどな。 ガチャッ…トタトタ… あれ誰か入ってきた?側を行ったり来たり…立ち止まって…見下ろしてるな。わぁい喜多村さんですねオレオワタ。 (すいませんオレ自分でも覚えてなくていえ決して夜這いとか間男とか今オレ自身にかけられてる容疑全部違うんです信じて) 喜多村さんはオレの、丁度腹の上に、なんだろグラスみたいな?置いてまたどっか行った。なんかこれ冷たいんですけど。冷静に、冷静に考えるんだ。普通、人間が横になってるその上に冷えたグラスは置いてかれない。しかもこれ揺るぎない。中身零れない感半端ない。 考えたくないが、オレは今擬態している。おそらくは佐久間家リビングのテーブルに。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「…で、今回は俺が作ってみたんだけど…」 「千弦が?すげえ!」 ア、来ちゃった。腹冷たい。二人は向かい合わせにソファーに座って、グラスを手にした。あ…なんだろ、パフェみたいな…アイスなのかな。佐久間さんは喜多村さんからスプーンを受け取って、アイスを食べ始めた。滅多にないアングル…下から佐久間さん見るの初めてだけど、唇シコいな。こんなヒゲふわふわだったんか。銀色のスプーンがあの小さな口元から出入りしたり出入りしたり出入りしてる。シコい。 「旨いよこれ。アイスって作るの大変なのに。すごいな千弦」 「ムフン。頑張って調べた」 チョコレートパフェかと思ったらアイスだったのね。ミントの葉っぱも添えられてて可愛いな。そんな中オレは佐久間さんのシコい口元から目が離せないでいます。たまに赤い舌が覗いてスプーンを舐めたりする。ウウン…多分今オレのちんkは「そう」なってると思うんだけど、幸運なことに今オレテーブルだからセーフ。何が幸運かわかんないけど。 喜多村さんが不意に立ち上がって、向かいの佐久間さんの横に座った。やっぱりおんなじこと考えるもんだなあ、佐久間さんのグラスをテーブル(オレ)の上に置いて、キスし始めた(始めやがった)。 「千弦はしょうがないなあ」 「鬼丸がシコいのが悪い」 うん、オレも思います。あああ始まる始まっちゃう。え?オレの上で?待ってグラスどうすんの、あ、どかすんですね一応。御意。なにこの絵面。喜多村さん×佐久間さん×オレ(テーブル)。挟んじゃうのねサンドウィッチね。なんだろオレってよく3P案件に巻き込まれてる気がしない?気のせい? 次第に口数少なくなってく二人を腹の上で感じながら、キモチイのかキモチくないのか、そのうち段々と気が遠くなって… ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「……ら、しだら!」 「ヘ…ぇ?」 「お前魘されてたよ?あのさ、ちょっと手伝ってほしいん」 再度目覚めたらここは雲母さんちのリビング。慌てて起き上がって全身可動確認。腹もちゃんと人間。リアルだった。夢でよかった、でもちょっと惜しかった。オレを起こしてくれたのは伊達さん。なんか床に座り込んでる。 「どしたんです?」 「ここ、ちょっと切ってほしいん。爪」 今日の伊達さんはロンTにハーフパンツ。見れば足の爪を切ってる途中。なんか自分だと足ツリそうな予感するんよ。そう言って伊達さんはつま先をオレの膝にひょいと乗っける。普通男の足先なんて見て嬉しいもんじゃないと思うけど、この人は手入れの行き届いた滑らかな指先や脛をしてて。ご贔屓のメンズエステにも通ってたりするし(オレも連れてって貰ったすげ気持ちい)。 ハーフパンツから覗く引き締まった脚、そこから伸びるつま先をしばらく指先で弄んで、そのまま足首持って思い切り引き寄せる。 「んなんでええええ!」 「…すみません、ちょっと…収まらなくて」 「???俺、なんも仕掛けてないよ?」 仕掛けとか仕掛けてないとかどうでもいいし。ん何がどうでもいいのおおおおお!珍しく抵抗する伊達さんを押さえ込んで、そのままその温かい唇を食らって暴いて。 伊達さんには悪いけど、ちょっとだけ。 心の中で反芻する。 あの、アイスの冷たさに赤らんだ舌先を。
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