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とても患者思いで友達思いの、優しくて、しっかり者……と、美晴さんは紹介してくれたっけ、入院して初めて会った時に。
助産師になったばかりで、まだまだ初々しい頃。
資格自体は春には取得していたが、病院の方針で最初は看護師として働き、晴れて助産師としての研修に入り、今ようやく独り立ちするのだと、自分のことのように話してくれた。自分が子供を産む時は、ミチに赤ちゃんを取り上げてもらうんだ、ちょっと予定が早まっちゃったけど、間に合いそうでよかった、と。
新人助産師のミチは、まだ高校生の瑛比古さんから見ても、可愛らしい笑顔で、病棟を明るくしていた。
出産後、一人立ちして初めて取り上げた赤ちゃんが、美晴さんの子で嬉しいと、涙ぐんでいた。
一見、新人らしい感情の起伏があるものの、その実、手際よく、時にしたたかに仕事をこなしていた。
そして。
四年後(三月の早生まれのハルと四月生まれのキリは、学年では五学年差でも年齢は四歳差である、念のため)、キリの出産の時は腰の低い、けれど優秀な助産師と評判だった……実はすでに産科病棟を掌握していたことを、瑛比古さんは気付いていたけど。
閑話休題。
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