3/6
前へ
/283ページ
次へ
「で、実習上手く行ってんの?」 「まあ、ボチボチ」 「ふーん」 「何?」  何か言いたそうな瑛比古さんの様子に、ハルの方がしびれを切らす。 「……今日の昼頃さ、何してた?」 「飯食ってたけど?」 「そっか」 「親父はどうせ、唐揚げ定食だろ?」 「む? 何故わかる?」 「……朝から『今日は木曜日~』って鼻歌歌ってたじゃん。いいな、明知屋の唐揚げ」 「ほいほい、また今度テイクアウト頼んでくるから。で、飯以外に! 何かあったろ?」 「……佐原主任から聞いたのか?」 「ミチ姐さん? いや。何、あの人関わってんの? あ、もしかして大失敗してめちゃくちゃ叱られたとか? あ、それか」 「違う! 別に叱られてない! ただ……」 「ただ?」 「……なんか、ちょっと、見えちゃっただけ」  わずかに顔をこわばらせるハルの様子に、それが『ちょっと』というレベルではないことを、瑛比古さんは感じ取る。 「……まあ、病院って、色々あるしな」  深追いせず、話を打ち切る。  ……とりあえず、ミチ姐に連絡を取ろう。
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加