4/6
前へ
/283ページ
次へ
 誰に似たのか頑固なところがあるハルは、なかなか口を割らないだろうし。  あっさりミチの名前を漏らすあたりは迂闊というか、まだまだ甘いところがあるので、つつけばポロリとしゃべりそうだが、実習中で心身ともに疲労している今の時期に、余計なストレスもかけたくない。    夜も更け。  ナミとメイは就寝し、ハルは自室で勉強中、キリが帰宅し入浴中、という時間。  テーブルにキリの夕食を準備し、瑛比古さんはお茶をすすって一休みしている、と。  連絡を入れておいたミチ姐から着信が入った。 『遅くなってゴメンね。ちょっと仕事が長引いちゃって』 「いえいえ、こちらこそ、忙しいところスミマセン」 『で、ハルくんのこと、よね? 聞きたいことって』 「ご明察。本人話してくれないからさ」 『相変わらず過保護ねえ。いったいどこで見張っているのよ?』 「俺たち家族は、心と心がつながっているんですよ」 『いや、二十歳過ぎの男の子に、それはあんまり言わない方がいいわよ? デリケートなお年頃なんだから、いくら良くできた息子でも、さすがにウザがられるわよ』
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加