フォッサマグナ

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フォッサマグナ

 四十六億年ほど前のこと、地球という惑星(ほし)は誕生しました。  熱い熱いどろどろでした。どろどろそのものでした。  どろどろは火照(ほて)る体を冷やそうと手を伸ばしてみました。  ひやっとして、おもわず引っこめました。けれども、冷たい空気に触れたくてまた伸ばします。でも、やっぱりまた戻してしまいました。  それでも気持ちよさを求めて、今度は頭を出してみます。すっきりしましたが、やっぱり耐えられずに熱の中心に潜りこみました。  やがてどろどろは真ん中にひきこもり、外がわはかちかちにかたい惑星となりました。  けれどもどろどろはまだ、体を出しいれしようともがきます。それは人間にプレートと呼ばれるようになりました。  どろどろによって引きずりこまれる場所には断層ができ、日本列島を横断する大きな断層はフォッサマグナと命名されました。  ラテン語で大きな割れ目という意味であるフォッサマグナは、ドイツのナウマン博士が発見して名づけたものです。そして彼は、フォッサマグナの西縁を糸魚川(いといがわ)-静岡構造線、東縁を直江津-平塚線と考えました。  さて、前置きが長くなりましたが(地球の歴史と比べたら一瞬でしょう)、この物語はフォッサマグナの端にある新潟県糸魚川にまつわる翡翠(ひすい)のお話です。
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