10人が本棚に入れています
本棚に追加
「もう無理よ。あなたとは――」
「無理じゃないだろ」
カウンター席しかない小さなバーで、男女が別れ話をしていた。
「もう無理よ」
「無理じゃないだろ」
同じセリフを繰り返すこと3時間。無理がゲシュタルト崩壊しはじめた頃、彼らよりも遥かに個性的な客が現れた。
「もう無理よ」
「無理じゃないだろ」
「もう無理よ」
「無理じゃな――」
「そこまでです」
男のセリフを遮った透き通る声。
2人はその元を辿り、バーの入口へと視線を向けた。
「なんだ?」
そこには、身長160cmほどの猫ロボットが立っていた。
それはそれは、鋭い眼光を放って。
最初のコメントを投稿しよう!