10人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんなんだよ。お前なんかに話すことなんて――」
「別れたいの」
「おい! これは俺らの問題――」
「しっ、あなたは黙っていてください」
ぴりおどねこが男の唇に指球で触れて話を遮った。
男は驚き、目を丸くする。
「抵抗するなら爪を出します」
ぴりおどねこは、もう片方の手を男に見せた。
そこには立派な鋭い爪が……。
――ごくり。
男は言葉を飲み込んだ。それを視認したぴりおどねこは、男の唇から指球を離し、女に向き直る。
「お嬢さん、理由を詳しく聞かせてくれますか?」
中身のないグラスの縁をなぞりながら、女は口を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!