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「マジで、頼むって!俺、この人達と幼馴染だからっていう理由で強制入部させられたんだけど、この人達、キャラが濃すぎるから一人じゃ対応できないんだ!」
私の耳元でこそこそと話したかと思うと離れて、バシッと音がするくらい大きな音を立て両手を顔前で合わせて頼む虎太郎君。ちょっと気が強そうで、今日の出来事がなかったら絶対関わることがなかっただろうなと思ってしまう虎太郎君のあまりの必死なお願いに私は戸惑う。…何か弱みでも握られてるのかな、必死過ぎてちょっと引いてしまう。
「何をコソコソ話しているのよ、虎太郎?」
「富ちゃんに僕たちの悪口を言ってたら、虎太郎の小さい時から現在までの恥ずかしい話しちゃうからね」
話の内容が聞こえていたかは分からないけれど、生徒会長と小毬先輩が虎太郎君を挟むようにして首根っこを笑顔で掴んでいる。そんな虎太郎君はいたずらがばれた猫のようにびくびくしていた。
「ひいい!!」
「どうしたんだ、怖いものでも見たのか?」
「やあねえ。まだ太陽が出ている時間なのにねえ」
…恐ろしい先輩たち。そしてちょっと可哀想な虎太郎君。そのコントみたいな光景を見て私は頬が緩んだ。
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