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「生徒会長の言う通りじゃん…」
本当に悔しい。きっと私の顔は今、フグみたいに膨れてるんだろうな。鏡見なくても分かる。
その時だった。
「富ちゃん、いるかしら?」
「?!」
一応、この学校には寮があるけれど利用している生徒はかなり少ない。寮にかかるお金、食費、光熱費、水道費全て入寮者は負担しなくてもいいというとても魅力的な制度なのに皆が利用しない理由は皆がこの辺り一帯の高級住宅地に住んでいるので寮に入る理由がないということ。実際、寮を利用している子たちは地方のお金持ちの子だったり、由緒正しき武家の末裔だったりする。…とりあえずあたしみたいな庶民はいません。だから、ここにあの人の声を聞くことはないと思った。
小毬先輩だ。
「いないのかしら。寮母さんは帰ってきたと言っていたのに。ここって、たしか出かけるときも帰って来た時も手をかざして認証させるシステムだから、記録上帰ってきてから出かけていないのは確かなんだけど…」
ドアの向こうでブツブツと考えこんでいる小毬先輩。ブツブツと言っているので断片的にしか聞こえないが、セキュリティ、大丈夫なのか?とか、業者を呼んだほうがいいのではとか、私がこの部屋をすぐ出ないとどんどん学校を巻き込む大きな話になりそうなので慌てて出ることにした。
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