ダラケ部!

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「ところで、あんたさ」 虎太郎君が私をじっと見てくる。綺麗な形の目でじっと見られると逸らせなくなるからどうすればいいか分からなくなるから困る。 「あんた、誰」 「…」 そうですよね…。私も君の名前、会話を聞いて分かった感じだし。 「…薄井富子です。この春、この高校に入学した者です」 「…あ、じゃあ俺と同い年なんだ。まあ、俺は幼稚園からのエスカレーター式だから特に入学式っていうものはやってないけど。そっか、同い年なのか」 虎太郎君は何度も「同い年かあ」と言い、うんうん頷いている。同い年というだけで生きてる世界が違っても距離がぐっと近づいた気がする。…そう思うのは私だけかな。 「虎太郎、よかったじゃない、友達できて」 「?!」 小毬先輩が聖母のように微笑むと虎太郎君はみるみるうちに頬を赤くし、私から目を逸らす。え、なんかした…? 「い、良いから!ほら茶飲むぞ!」 そう言って虎太郎君は私達を強引に座らせた。
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