ダラケ部!

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この春、私はこの私立松菊高校に通うことになった。 松菊高校。それはお金持ちや芸能人の子たちばかりが通う学校。…とりあえず本来、超貧乏人の私が通う学校ではない。入試で1番の成績を取った者が学校に通うための学費、制服代、教材代などなどすべてが免除されるというので死にもの狂いで受けたんだ。2番目の成績だったら合格を辞退していたけど、なんとか1番の成績を捥ぎ取った私晴れてこの学校に入学した。両親は泣いて喜び、地元の中学校の皆は何度もすごいと言ってくれて嬉しかったけれど、 「…やっぱ、この空気に慣れない」 だって周りの皆、すっごいキラキラしているもの!それになんだかいい匂いするし!なんだかフワフワした気持ちになってしまう。 そんな放課後を過ごしていた時だった。 「富子さん、カフェテリアに行きません?今日、新作のケーキが出るんですって!」 同じクラスの北条撫子さんが私の元に駆け寄るとまさに撫子が咲き誇るような笑顔でもう一度誘った。思わず「いいよ」と言ってしまいたくなるけどやばい、やばい。ここのカフェテリアすごい高いんだよね。私のお小遣いすぐ消えてしまうよ。どうしようと考えていると撫子さんは可愛く小首を傾げ、 「?富子さん、お顔が真っ赤ですわよ?もしかして体調が悪いとか?いつも富子さん、お勉強熱心だからお疲れになってしまってるんじゃありませんの?」 白くて傷一つない、手荒れを全く知らない撫子さんの手が私のおでこに触れようとした。私は、あわあわしながら一歩分、撫子さんと距離を取る。 「た、体調は悪くないよ!大丈夫!でもお茶はまた今度にしよう?もし、私がウイルス持ってて撫子さんにうつしてしまったらまずいから!」 そんな言い訳を投げ捨てながら、私は撫子さんに「じゃあね!」と軽く手を振る。撫子さんはきょとんとした顔をしながら、「体調良くなったら是非お茶しましょうね」と優雅に微笑んでくれた。あっさり受け入れてくれて助かる。 撫子さんと別れ、廊下を歩きながらちょっとだけ凹んだ。あんな綺麗なお嬢様なのに私みたいな貧乏学生にも優しくしてくれるなんて、天使だ、いや女神だ。なのに、私はお茶のお誘いを断ってしまった。本当はカフェテリアの値段が馬鹿みたいに高いから行きたくないだけ。体調が悪いんじゃないかと撫子さんは勘違いしてたけど違うんだ。 「それに、私は成績落とすわけにはいかないんだよね。この学校にかかる費用全額免除の資格を落とすわけにはいかないもの。大学だってあるんだし。落ち込んでばかりじゃ駄目だ!勉強、勉強!」 そしていつも使わせてもらっている学習室に向かおうとしたとき、ふらっと体が傾いた。
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