49人が本棚に入れています
本棚に追加
周りから指摘されるより自分から素直に言った方がダメージだって小さいから。
そこに同情も説教も必要ない。
へえそうなんだ、なんて軽く流してくれればそれでいい。適当に相槌を打って、深く踏み込んでこなければそれでいい。
それなのに、
「全然、恥ずかしくないですよ」
笑い飛ばすこともせず同情することも説教することだってなくて。
「むしろ、自分のやりたいことがちゃんと見つかってて尊敬します。そんな生き方」
私を見据える瞳が、真っ直ぐで。
「高野さんは自分のことをダメだ、なんて言ってるけれど全然そんなことないですよ。だって、自分の好きなことに出会えて今もそれを頑張ってる。それだけですごいことなのに」
初めて、私自身を誰かに肯定された。
胸がぎゅっと締めつけられて、嬉しくなる。
この空気に、その言葉に、その視線に飲み込まれてしまいそうになる。
けれど「もう〜、なに言ってるの」笑い飛ばして、彼の腕をパシッと軽く叩くと。
「私の生き方を尊敬する? 好きなことに出会えてすごい? 城戸くんてば褒めるの上手だな〜」
きっと、お世辞にもないことを言っている。
城戸くんは、見るからにモテる人だ。
栗色のふわふわした髪の毛に、綺麗な二重とちょうどいい唇の厚さ。左耳にキラリと光るピアスが一つ見えて。
高身長で、モデルさんのようにスラッとしていて、かっこいい。
最初のコメントを投稿しよう!