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かと言って強引そうでもないし、見た目からは「僕」の方が似合いそうなのに、一人称は「俺」で意外だったりするし。
ふつうに生活していたら、こんなかっこいい人と関わることだってない。
あのとき私が酔っ払って、無闇に絡んだに違いない。
きっと、城戸くんだって迷惑してるはず。
「こんなに口がうまい人は初めてだな〜」
笑いながら彼の腕をパシパシ叩いていると「高野さん」声が聞こえて、私の手を掴む。
どきっ、として一瞬固まった私をよそに。
「──俺、嘘は言わない主義なんで」
聞こえた声に、恐る恐る顔をあげる。
張り詰めるような空気と、真剣な眼差しが、真っ直ぐ私を見下ろしていた。
また、どきっと胸を弾ませながら「なに、言って…」緊張を誤魔化すように、手を引き抜こうとバタつかせながら目を逸らすけれど、全然ビクともしなくて。
「冗談なんかじゃないですよ。ほんとに俺、思ったことしか口にしないんで」
私の手を掴む手に、ぎゅっと力が加わる。
「私に、そんなこと言われても……」
胸の奥で動いた鼓動は少しずつ速い音を刻む。
緊張のせいなのか、かっこいいからなのか、はたまた手を掴まれているからなのか。
恋愛経験ゼロな私は、原因不明の病に陥っているようで。
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