02.「俺と取り引きしませんか?」

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「大丈夫ですか?」 かがんで目の前に現れる城戸くんは、心配しているというより笑いを堪えているように見えて。 「そんなに心配してないでしょ」 「してますよ! だっていきなり尻餅ついちゃうから、そりゃあもう心配で心配で」 身振り手振りで無駄にアピールをして見せるけれど、それでもやっぱり口元の端っこが広角を上げているように思えて。 「……もうっ。なんか、意地悪」 ムスッと拗ねて視線を逸らすと、だって、と言った彼は、 「高野さんが過剰反応しずきっていうか、反応がいちいちウブすぎて。なんか、可愛いなーって思っちゃって」 告げられた言葉に私は「なっ…!」と赤面してしまう。 「あ、ほらそれ」と指摘されるから、ますます恥ずかしくなる。 「ちょっともう! ほんとにやめて……っ!」 こんなことでいちいち照れる私は、見た目通り恋愛経験ゼロで。 城戸くんは、きっと今までにたくさんの女の子と付き合ったに違いない。 だって、慣れてるから。 「じゃあ、からかうのはやめるので取引成立ってことでいいですか?」 なんて支離滅裂なことを言うから。 「さっき言ってたことと違くない?」 冷静にツッコミを入れると、まあまあまあ、となぜかなだめられる。 「それで、どっちにしますか? 取引成立? 失敗?」 言葉をまくし立てられるから、あとがなくなった私。
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