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柔らかそうな癖っ毛の栗色っぽい髪。お人形なんかじゃなくて、人間のそれ。
けれど私に、同棲している相手はいない。
おそるおそる手を伸ばして、布団を少しめくると、スースー、と寝息を立てながらぐっすりと眠る男の子がいた。
「えっ──…!」
あまりの衝撃に思わず絶句した私。
あちらこちらを見渡すと、家にはない家具やカーテンが視界に映り込んだ。
どうやらここは私の家ではないらしい。
しかも、
「う、うそっ……」
上半身はキャミソール一枚。下は、ショーツを履いているけれど。
ベッドの下に散乱している乱れた洋服が、この場の決定的な証拠みたいなもので。
「これは、悪い夢……?」
思い出せ、私。昨日のことをちゃんと思い出さなくちゃ、このまま最悪な事態として処理せざるを得なくなる。
頭を抱えて思い出そうと必死に意識を巡るけれど、担当さんと別れたあとに立ち寄った居酒屋のあとの記憶が一つもない。
つまり、それは。
「……私、知らない人と関係を持ってしまったの?」
隣ですやすや眠る彼は、見るからに上半身裸で。私は、下着姿。
もちろん、最悪の事態が濃くなった。
……あれ。でも、そういえば。
「最初はかなり痛いって聞くけど……」
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