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どっちにするのが自分にとって得なのか損なのか。十秒にも満たない、ほんの短い時間で考えて出した答えは。
「………試してみたい、かも……」
そんな私の答えを見抜いていたかのように、そうなることを予測していたかのように、クスッと笑ったあと、
「取引成立ってことですね」
漫画のプラスになるなら、と甘い誘惑に負けてしまった。
そして、じゃあ、と続けると、
「今さらだけど自己紹介しておきましょうか」
「う、うん…」
「俺、城戸 充尊(きど みこと)です。今年、二十歳の大学生です」
キラキラスマイルで告げられる。
けれど、
「えっ……?」
今、なにか聞いてはいけないようなものが聞こえてしまったような。
「……だ、大学生、なの……?」
「はい。つい先日、二十歳になったばかりです」
………Oh no 。
目が点になるとは、まさしくこのことだ。
まさか自分よりも七つも年下だったなんて。
「どうかしました?」
「いやっ、なんでもない!」
そうは言ったものの動揺は隠せなくて。
だって、私とそこまで変わらないかと思っていたから。いや、だからといって老けてるとかそういう意味ではないんだけれど。
次は、私の番だ。
えーっと、と言葉に詰まらせながら、
「ペンネームは高野樹穂なんですけど、本名は村井樹穂(むらい きほ)で。それから歳は……」
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