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もちろんお母さんが私を心配してくれているのは分かるけれど、私はもう、いい大人。二十七歳なの。一人で立派に生きていける。
けれど、泣かず飛ばずのまま漫画家を続けると言ったとしてもお母さんが納得してくれるはずもないし……
「今、順調にきてるから心配しないで……と」
現実とは対照的な文字を打ち込んで、送信ボタンを押した。
ふう、とため息をついて、スマホ画面を下に向けて机に置いた。
画面がいちいち光ると気が散ってしまうから。
「順調と送ったものの、むしろその逆で。かなーり崖っぷちなんだけどなぁ……」
サスペンスドラマで例えると、犯人が警察に崖に追い詰められているところ。
下には、荒波がきている海があって、前も後ろも絶対絶滅の状況下。
おまけに二十七歳で独身だから、親が心配するのも無理はない。
高校の友達だって中学の同級生も、みーんな結婚してすでに子どもがいるんだもん。
幸せそうに笑う姿の写真付きハガキが年末にいつも送られる。
そんな中、私は自分の夢を追いかけて上京したわけだけど、現実はそんなに甘くはなかった。
大学生のとき、親しくしていた友人に漫画家デビューすると伝えたら、応援してくれた。
私も、そのときは若かったからバリバリ頑張ろうと思ってた。
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