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けれど、恋愛経験ゼロの私が少女漫画を描けるはずがなくて。
読み切りで描いたアンケートでは、「胸キュン要素が少ない」とか「青春って感じがしない」とかマイナスなコメントが多いときもあった。
そりゃあね、自分でも思ったよ!
恋愛経験ゼロだから、胸キュンって何!?とか青春ってどんなこと!?とか頭を悩ませたけど、高校時代は教室の隅っこで妄想ばかりに花を咲かせていて、青春らしい青春なんてしてこなかった。
それが今に響いているのかと言われれば、その通りなのかもしれない。
「やっぱり私には恋愛漫画なんて向いてなかったのかなぁ……」
思わず、机の上に項垂れた。
上京して六年。デビューして六年。
想像していた漫画家生活とは程遠かった。
──ピロンっ
スマホが頭の上で鳴る。
憂鬱になりながらも、画面を操作すると。
【それならいいけど。いつまでもそんな仕事してないで、自分の幸せも考えなさいね】
さらに憂鬱へと誘うような文面が視界に映り込んで、返す気にもなれなかった私は、画面をそのまま閉じた。
「……自分の幸せって何よ」
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