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「……誰?」
こんな時間に宅配?
でも私、最近は何も頼んでないし。
わざわざ出るのが面倒くさい、そう思ったけれど、
「……はーい」
髪のボサボサも部屋着も気にすることもなく、そのまま玄関へ向かって、カギを開けた。
すると、まだ完全にドアを開けていない状態で「よかった、お隣さんいた」と声が聞こえたあと、
「俺、隣に越してきた城戸 充尊(きど みこと)です」
全開のドアの向こうに現れたのは、宅配便ではなく私の隣に引っ越して来たらしい、男の子。
「これ、よかったらどうぞ」
真っ白な紙袋には、ロールケーキが有名なお店の名前が端の方に遠慮気味に添えられていて。
「わさわざ、ご丁寧にどうも……」
受け取ったあと、さすがにこの格好じゃまずかったかな、と顔を下げる。
すると「あ」と声をもらして、膝に手をついてかがむと、私の顔を覗き込む。
その瞬間、至近距離で見つめられて、どきっ、と鼓動を鳴らしていると。
「もしかしてこの前のお姉さん……?」
そう告げられて、え、と困惑した声をもらした私をよそに、やっぱりそうだよね、と自分一人で話を進める城戸さん。
「あのっ、ちょっと待ってください……全然、話が読めないんですけど……」
テンパって思わず、そう答えると、あれー、と首を傾げながら、また私をじーっと見つめる。
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