二章

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「なぁんだ違うのかぁ。今朝の時もそうだったけどそんなに熱烈な視線を女子に向けるもんじゃないよ。あたしはてっきり吉田君は透視能力でも持ってて制服を透かして、あたしの裸体を楽しんでるのかと思った」  そう言われてほっとした自分がいた。なんだ冗談か、と。彼女の色は依然として白いままだけど、話はどうやら面白くはないようで、そこはリンクしてないのだなと思った。……ん? ちょっと待てよ……。  彼女の言った言葉に違和感を感じた僕はそのまま聞いてみた。「制服だけ透かしたら裸体ってことは……履いてないの?」 「んー、まぁね。涼しくておすすめだよぉ。あ、でも男子はズボンだからスリルはないよね」 「あぁ、そうなんだ…………ってはぁぁ?!」  まさかのカミングアウトに集中を手放した僕の視界から彼女の白は霧散した。 「あっはははは! いいねぇそのリアクション、最高だったよ!」  彼女はかなり大袈裟にお腹を抱えて笑った。どうやら僕はからかわれたらしい。純情な男子の清い心を弄ぶとはこれはもう重罪だ。僕はなんとかして報復の手段を考えていたのだけど、どうやら天は彼女に味方したらしくそのタイミングでちょうど左右の別れ道になった。僕は左に進む。  そこで彼女は「私こっちだから」と反対の道を歩いた。別れ際に「また明日も一緒に帰ろうねぇ」という不吉な予言を残しながら。  途中から完全に彼女のペースに飲まれていた僕は本来の目的を思い出して、はっとした。まぁ明日もあるならいいか、と考えた。振り返ると彼女がまだこちらを見ていて、振り返った僕のことをニヤニヤしながら見ていそうな気配を感じたので振り返らずに帰った。  その日から僕は彼女と一緒にこの道を歩くようになった。
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