大嘘つき

一章

　これが僕の日課だ。自分でも気色の悪い日課だと思う。覗く必要のない他人の心をただ一方的に覗くだなんて。

　目に集めていた集中を解くとやがて彼女たちの色は見えなくなった。

　　　　　　　× × ×

　僕がこの能力に気づいてからの三年間で大体どういった力を持っているかは把握している。基本的には二つの力が備わっている。

　①他人の心の内側の色が見える

　②他人の嘘を可視化できる

　というものだ。

　もう少し詳しく説明すると、①はどうやら今までについてきた嘘の数によって色は黒に近くなっていくものらしく、②によって見えるのは嘘をついた時にそのレベルによって心の内側が黒くなっていくらしい。

　砕いて言うと僕に備わっていたのは、今までどれだけ相手が嘘をついてきたかということと、質問に対する答えが嘘かどうかを見抜ける、というなんともくだらないものだった。