二章

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 でももし僕の能力の的中率が百パーセントなのだとしたら、そういうことになる。これは恐るべき事実だ。そんなの全然、現実味が、人間味がない。    僕は今日一日で確信した。このまま気になったままで放置しておけば、きっと次のテストは落第点を取るだろうということを。そんなことになるわけにはいかない。僕は、普通が好きだ。  なんとかして彼女に接近する方法はないものか。        × × ×  残念ながらその日最後のホームルームが終わるまで何も作は思いつかなかった。僕は面識のない相手でも変わらず普段の会話ができるほどコミュニケーション能力が高くない。上手い嘘のつき方を覚えた代わりに僕はそっちの方はサボり気味だったから、早速行き詰まった。もう今日は諦めようと帰路に着いた時だった。「ねぇ」と向こうから声をかけてきた時には驚いた。 「な、なにか、用?」 「うん。でもあるのはあたしじゃなくてそっちじゃない?」 「え、あー、いや……まぁ、そう、なの……?」 「そうだと思うよ。だってあたしのことめっちゃ見てたじゃん、今朝さ」  ばれていたのか。そんなに長い間凝視していたつもりはなかったのだけど、彼女は結構鋭いのかもしれない。
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