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『名取さん!今回の走りは素晴らしかったですね!学生記録に到達しそうな好タイムを叩き出しましたね!』
『はい…』
『これからも陸上一本で進まれて行くんですか?』
『えっと…』
『ゆくゆくはオリンピックの選手に…』
『女子100メートルの日本新記録に…』
「ハァ…」
「鈴ちゃん、どうしたの?」
「千尋ちゃん…ごめんね、何でもないの…ちょっと走ってくるね…」
「うん…」
ーーーーーーー
「ん〜…こんなもんか?」
俺はパソコンを閉じて伸びをした。
パソコンと睨めっこしながらしていた作業は、各部員のトレーニング内容を記入していた。
うちの大学は決して強豪という訳でも人数が多い訳でも無いが、大会を目指して真面目に取り組む方が多いので、俺も仕事のやり甲斐があるというものだ。
…そんな中、気になる部員が1人…
コンコン…
「失礼します」
「はい、おう藤井か、どうした?」
コーチ室に入ってきたのは、陸上部員の藤井 千尋(ふじい ちひろ)。
200メートルをメインに走っており、同じ部員の名取とは仲が良く、互いの練習に付き合っている姿をよく見かける。
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