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俺も名取の状態をどうにかしてやらないとと考えていた。
選手のメンタルケアもコーチの大事な仕事だが、話すタイミングが…
そう思い、放課後の練習中に名取に話し掛けた。
「名取、最近調子はどうだ?」
「普通ですよ?」
「おう、そうか…」
「コーチ、タイム計測してもらってもいいですか?」
他の部員に呼ばれて、名取とはそれっきり…
口下手な俺は切り出すタイミングを失い、練習が終わった。
明日こそは…と車を走らせ帰宅していると、途中でとぼとぼと歩く1人の女性が…
通り過ぎてバックミラーを確認すると、俺は路肩に車を停めて、その人に声を掛けた。
「名取」
「あっ、コーチ、お疲れ様です」
「帰りか?今日も遅くまで走ってたのか?」
「はい。自分の納得のいく走りが出来なくて…」
「走り過ぎは足を痛める原因になるぞ。練習はほどほどにな…乗ってくか?送るけど…」
「良いんですか?」
名取はジャージ姿では無く、白のワンピース姿で、髪は結んでおらず、長い髪を靡かせていた。
名取を助手席に乗せ、車を発進させる。
「マンションこの近くなのか?ひとり暮らしだって聞いたけど…」
「はい、セキュリティのしっかりしたマンションなんです」
「へぇ…」
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