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このまますぐに帰すのは惜しい気がした…
「名取、今日は夜も暖かいから少しドライブしても良いか?」
「良いですけど…」
俺は車通りの少ない道に入って、法定速度ギリギリで車を走らせる。
「最近、走りが余り良くない気がするんだけど、本当に大丈夫か?」
「えっと…」
「何か悩み事でもあるのか?俺で良ければ話せよ」
隣からは「えっと…」と言いあぐねている名取の声が…
しばらくして、途切れ途切れに名取が話し始めた。
「私…将来の事に悩んでいて…私は大学を卒業したら就職しようと思ってるんですけど、周りの人は私が短距離で活躍するのを期待していて…このまま就職しても良いのかなって思い始めていて…もし、就職したら、周りの人達を失望させてしまうんじゃないかと思うと怖くなって…」
言い終わると、名取は口を噤んで言葉を発しなくなった。
「将来の事…それが悩んでる原因か?」
「はい…練習に悩みを持ち込んだらいけないのは分かってるんですけど…」
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