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同じ短距離走をしていた俺から見ても、名取の走りは素晴らしい。
フォームもそうだが、スタート時に瞬発力を発揮して前に躍り出て、周りの選手を置いて走り抜けていく姿は圧倒的で、見ていて爽快な気持ちになる。
走りに期待する他の選手、監督、記者達も多く、彼女はそれをプレッシャーに感じているのだろう…
「私、走るのは好きなんですけど、世界の大会やオリンピックへの出場は目標にしていなくて…今の学生の大会に出るので十分なんです…」
名取の気持ちを考慮して、どう言ってやれば良いかと考えていると、行きつけのラーメン屋が目に入って、そこの駐車場に車を停めた。
走りながら考えてると事故を起こすかもしれない…
「名取、今は別に悩むんじゃなくて考えるだけで良いんだ。深刻に悩むんじゃ無くて、将来の選択肢の1つとして考えておくんだ。
もしかしたら大会に出てる内に選手として活躍したいと思う気持ちが出てくるかも知れないし、そのまま就職するかも知れない。就職したからと言って、走るのを諦めろと言ってるわけじゃない。休みの日や時間のある時は走って良いんだ。
名取の人生は名取が決める。周りにどう言われようが自分が1番良いと思う選択をすれば良いんだよ」
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