プロローグ

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プロローグ

 20✕✕年。東京。池袋。20時36分。    池袋駅東口。帰宅途中の人々が群がる、西武デパートの出入口が点在する駅の中央部にて、突如悲鳴が上がった。    一人の女性が、初老の男に襲われている。初老の男の肌は黄ばみ、血管が浮き上がり、髪が白く逆立っている。女性の頭に噛みつき、頭の皮膚を髪の毛ごと噛みちぎっている。    女性は必死に抵抗するが、初老の男の力は異様に強く、抵抗する女性の腕をへし折った。  女性は周りにいる大勢の人だかりに助けを求めるが、皆恐怖で動けない。中には、映画の撮影かと思ってスマホで撮りながら見ている若者も大勢いた。  しかし、事態の深刻さに皆気づきはじめ、東口地下デパートから駅構内は大パニックになる。    噛みつかれた女性の頭蓋骨に穴が空きはじめ、おびただしい血が彼女をおおい、抵抗する力も無いその体は、ビクビクと痙攣を始める。    駆けつけた警官が銃を向け、止めようとするが、初老の男は全く止まること無く女性の脳ミソを食べている。  警官は発砲。その弾は初老の男の肩に当たり、動きが止まった。  ほんの数秒。止まったままだったが、やがてゆっくりと警官に目を向ける。    その目は、白目から黒目まで真っ赤に染まっていた。  
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