第十五話 三晴の戯れ

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 厨二病と言われやっと諸星はパッと三上の顔が浮かんだ。厨二病で浮かぶのは失礼だと思うが、それだけインパクトが強かったのだ。あまりのインパクトに名前の方を忘れてしまっていた。 「そっかぁ、そこに負けちゃったかぁ」 「確かそこは中一の時から県大会行ってるペアっすね。小学校からやってる」 「へー」  門脇が落合からまた瀬野と原の方を見ると、試合は終盤となっており、瀬野・原がもうそろそろでマッチポイントに届くところだった。綾瀬と三輪は相手に翻弄されており、ミスが目立っている。瀬野という存在が大きいとは思うが、未知なペアである原の影響力もあるのだろう。 「そう言えば、霧高って霖海に勝ったんだよね?」  小鞠が門脇に聞くと、門脇が「はい」と答える。団体のブロック戦の決勝で霖海と当たった霧高は、見事霖海に勝利をしたのだ。不動の八強が崩れたと巷では話題となっている。勿論、諸星の耳にも届いていた。部内はその話で盛り上がっているのだ。 「霖海って確か綾瀬君と三輪君以外にも、野上君と谷地君。後、若林君もいたよね?」 「そうですね」 「オーダー、どんな感じだったんだろうね」  小鞠がぽつりと呟くと、門脇が首を傾げる。 「第一ダブルスが古宇田・橘。相手は綾瀬・三輪。第二ダブルスが三上・児玉。相手が野上・谷地。第一シングルスが原。相手は永田。第二シングルスが瀬野。相手は綾瀬。第三シングルスが永野。相手は野上だったそうです」  突然まじまじと試合を見ていた綱が口を開くと、一斉に皆が綱を見る。綱はこちらのことを見ずに瀬野たちの試合を眺めており、その瞳で何かを吸収しているようだった。 「信太朗、よく知ってるね」 「野上さんに聞きました」 「そっかぁ。で、試合結果は聞いてたりする?」
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