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「第一ダブルスが霖海。第二ダブルスがファイナルゲームに行った末、霧高の勝利。第一シングルス、第二シングルス共に霧高だったそうです。結果、3-1で霧高の勝利」
「野上君と谷地君のペアに勝ったのが、その三上君と児玉君か。強いねぇ」
小鞠は暢気な声で言うと、辺りでどっと歓声が起こり、見ると瀬野と原が勝利を収めていた。綾瀬と三輪と握手をして、コートから出ている。タオルで汗を拭い、水をごくごくと飲む姿はまさに猛者のように思えた。すぐに佐田コーチと、マネージャーであろう女が二人に近づいている。
「あ、天野」
綱はぽつりと言うと、落合が「天野?」と聞き返す。すると綱がマネージャーを視線で示し、落合が「ああ」と言った。
「あの子、瀬野追って霧高に行ったんだな!」
「みたいだな。さすが瀬野の大ファン」
諸星も天野のことは覚えている。練習も大会も欠かさずやって来ていた瀬野の大ファンだ。本人によると恋愛対象ではなく、瀬野のプレースタイルに惚れたらしい。まさにバドミントンバカ。瀬野には負けるが、それでもなかなか競っていると思う。
赤星を卒業してからすっかり会っていなかったから、忘れていた。よく見れば、確かに天野である。
「いいなぁ。俺も天野ちゃんみたいなマネージャー欲しいー。ていうか、彼女欲しいー」
「まずはその五月蠅い所直した方が良いと思う」
「これは俺の長所なの! 元気いっぱい、活発な体育会系男子を好きになってくれる女子はいる! ていうか、体育会系男子の方がモテると俺は信じてる!」
綱は厄介そうに溜息を吐くと、隣で門脇と小鞠がくすくす笑う。それを見た落合が「笑わないでくださいよー」と口を尖らせながら言った。
「もしかして楓がバド始めたのって、女子にモテたいからとかじゃないよね?」
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