第一話 レギュラー発表

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 全員が声を揃えて返事をすると、佐田コーチが天野を見る。天野はマーカーのキャップを外すと、ホワイトボードに顔を向けた。今度は佐田コーチではなく、村上先生がクリップボードを目の前に持ってくると、全員の視線が一気にそちらに向く。 「ではスターティングオーダーを発表する。今回はシードで対戦相手が分からない状態だったから、こちらで総合的に勝てる組み合わせを決めさせてもらった。次の試合からは、いつものように自分たちで決めてくれ」 「はいッ」 「霧高の最初の対戦相手はシードの為分からない。だが上がってくるのは西相(せいそう)地区の雲霄工業(うんしょうこうぎょう)だろう。第一ダブルスから順にオーダーを発表していく」  天野はいつでも書けるという目線を村上先生に送ると、それを確認して村上先生がスターティングオーダーを順々に発表していく。 「第一ダブルス。」 「はいッ」  三上と永野はお互いに顔を見合わせると、会釈をする。三上と永野のペアはなかなか珍しい。今までで無い組み合わせなのではないだろうか。三上と永野がペアを組んだら、かなり凄そうだ。 「第二ダブルス。」 「はいッ」  古宇田と児玉のペアもなかなかの見ものだ。前が上手な児玉とコース、そしてスマッシュが速い古宇田の組み合わせは三上・永野と同レベルの凄さだと思う。古宇田と児玉は顔を見合わせると、会釈をする。児玉は顔を強張らせており、今にも吐きそうな勢いだった。古宇田への苦手意識があるのか、それとも原のように緊張で強張っているのか分からない。それともどちらもなのだろうか。 「第一シングルス。橘一生」 「はいッ」  橘が第一シングルスに登壇するのか。あと残っているメンバーは自分と原。どちらが第二シングルス、第三シングルスに選ばれるのだろう。 「第二シングルス。原武臣」 「はいッ」  原が第二シングルスということは、自分が第三シングルスになるということか。 「そして第三シングルスが瀬野浩平」 「はいッ」  返事をすると、一気に辺りの空気が緩んだのが分かった。初戦は大丈夫だと思うが、相手校も侮れない。気を緩めば、必ず叩き潰してくるだろう。 「以上、解散。練習を始めろ」 「失礼しますッ」
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