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全員が声を揃えて言うと、橘が「体操ー」と透き通る声で言って全員を体育館の中央に集める。いつものように輪になって体操を始めると、佐田コーチ、村上先生、天野が集まって何かを話していた。声が小さくて良く聞こえないが、雰囲気からして察するに、霖海高校のオーダーのような気がする。
「終わりッ、走るぞー」
「はいッ」
あっという間に体操を終え、橘と古宇田に続き列に並ぶと全員が並んだのを確認して走り出す。
「霧高ー、ファイオッ、ファイオッ、ファイオー」
橘が掛け声を言いながら体育館内をぐるぐる走り回ると、今度は反対周りに走り出し、体を温める。あと4日で県予選。これで霖海を破れば、ベスト8入りで不動の八強と言われていたのが、大きく揺れる。雪ノ下ともトーナメント表次第でリベンジができる。それに、三晴の実力も見れる。
団体戦はブロック制で、ブロックによって会場が違うため、今回三晴がいないブロックにいる霧高は三晴の試合が見れない。つまりベスト8決定戦で初めて目の当たりにすることになる。三晴も雪ノ下も確実にベスト8決定戦にやって来るはずだ。
———絶対に勝ってやる。
心の中で呟くと、自分の番に回って来て掛け声を腹から声を出す。自分の声が体育館内で響き、体を震わせた。
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