エピローグ

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「雪ノ下高校対霧山高校の試合は、3-2で雪ノ下高校の勝ちです。お互いに礼」  主審の合図で自分たちはお辞儀をすると、雪ノ下のメンバーと握手をしてコートの外に出た。すぐに集合し、皆佐田コーチと村上先生の周りに集まる。 「気を付け、礼」  橘が号令を掛け、「お願いします」と沈んだ声でお辞儀をすると顔を上げた。いつもなら何沈んでんだよ、と明るく大笑いする佐田コーチだが、今日だけは特に何も言わずただ頷いていた。 「俺から言うことは何もない。皆、よく頑張った。本当に頑張った。それでダメだったなら、まだまだということだ。課題点が幾つも見つかったんだ。それを胸に選抜大会に向けて練習しよう」 「……はい」  佐田コーチは村上先生に話を振ると、村上先生は特にこれといったことは言わず、ただ汗をかいているから風邪を引かないようにと体調を心配したことだけを言った。 「気を付け、礼」 「ありがとうございました」 「失礼します」 「失礼します」  集合が解散すると、それまで堪えていた永野がついに涙を流す。それを見て、周藤が歩み寄った。ポンと肩を叩いて、背中を擦ってあげる。その温かさにさらに永野の涙腺は緩み、ついには声を上げてまで泣いていた。  荷物を片付けて横を通ろうとした雪ノ下は気まずそうに永野を見ていて、それから二階に続く階段を上る。自分たちもぞろぞろと荷物を片付けて階段を上ると、永野の心配をしながらも足を動かすのを止めなかった。  自分たちの荷物が置いてある所に着くと、終わったということが身に染みて感じられたのかポロポロと他の部員も涙を流し始める。最初に泣いたのは児玉、その次に古宇田。それに続くように三上、原、橘と続々と涙を流し始める。一気にカオス状態となった場だが、仕方がないと自分は思った。 「ごめんなぁ……本当に……俺のせいで、ごめん……」
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