エピローグ

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「俺たちは、ここで折れない。選抜大会で絶対に全国に行く」  原は拳を前に突き出すと、覚悟を決めた目で自分たちを見た。 「選抜大会で絶対に全国に行く」  自分はそう言って、原に倣って拳を前に突き出す。フッと笑って、周りを見た。 「選抜大会で絶対に全国に行く」  三上と児玉が声を揃えて言うと、拳を前に突き出す。 「選抜大会で絶対に全国に行く」  橘と古宇田も声を揃えて、拳を前に突き出した。 「選抜大会で絶対に全国に行く」  天野が拳を前に突き出した。 「選抜大会で絶対に全国に行く」  世田谷、笹、周藤が声を揃えて、拳を前に突き出した。全員の視線が永野の方に向く。永野は皆の顔を一瞥すると、拳を前に突き出した。 「選抜大会で絶対に全国に行く」  全員の拳が一つとなり、自分たちは照れたように笑いながらお互いを見ていた。 「俺たちは折れない。絶対に勝ち上がって、全国に行くんだッ」  橘が主将らしくそう言うと、皆が「よっしゃー!」とはしゃいだ声を出す。 「霧高ー、ファイト」 「オー!!」  拳が掛け声と共に天に突きあがり、周りにいた選手たちが何だなんだとこちらを見ている。  絶対に負けない。今度こそ全国の切符を掴む。絶対に掴むんだ。  一階から視線を感じ、自分は下を見ると安堵の表情を浮かべた村上先生と笑顔の佐田コーチが仁王立ちしていた。自分の視線に気づくと、二人とも拳を天に向かって突き上げる。緑色のユニフォームが、天から至福を受けたようにキラキラと輝いた。  選抜大会で絶対に。行ってやる。雪ノ下にも三晴にも勝って、絶対に行くんだ。誰にも負けない、は。  さあ、新たなだ。
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