プロローグ

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 試合のトーナメント表を確認して、ぼんやりと電車に揺られながら外を眺める。自分よりも早くに起きた街に挨拶をするかのようにじっと眺め、それから気づけば降車する駅に着いていた。ハッとしてラケバを背負うと、急いで電車から降りて乗り換える。路線が違うため、ホームとホームが離れているから急いで移動しないといけない。普段降りない駅に戸惑いながらも、何とかホームに辿り着くと停車していた電車に乗った。  中には三上渚(みかみなぎさ)児玉玲(こだまれい)、そして笹侑李(ささゆうり)が仲良く談笑していた。三上は、あれほど長かったのは目が見えるぐらい短くなっている。それだけ、ということだろう。  三人は自分に気づくと、手を挙げ「おはよう」と言った。挨拶をし返すと、近くに座る。 「偶然だね。さっきも浩平君と同じ電車に乗ってたのかな?」 「かもしれない」 「霖海(りんかい)に勝つのは我らだ! その為にのだからなッ!」 「頑張ってね~」 「前髪切ったって意味なんだけど、ちょっと渚君、声大きいよ……!」  児玉は三上に注意をすると、三上が「すまない」と小さく言って、ボリュームを下げる。幸い、周りには早朝の為あまり人は乗っておらず、謝るだけで許してもらえた。  今日の試合で順々に勝ち進めば、ベスト8入りするか否かの大事な一戦で不動の八強、第七位の霖海高校に当たることになる。そこに勝てば、ベスト8決めで雪ノ下に当たれるかもしれない。当たればゴールデンウィーク合宿のリベンジができる。あんな悔しい思いはまたしたくない。絶対に勝つ。何が何でも勝つ。  電車が動き始めると、目的の駅までの線路を進み始めた。玄天高校まであと少し。インターハイ県予選が始まるのもあと少し。他校の選手と戦えると思うと、興奮が冷めなかった。  熱を帯びた電車がそれぞれの思いを運びながら、真っすぐに突き進む。誰もが勝利を望み、期待を背負い、プレッシャーを感じながら目覚めた朝だった。
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