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掛けられる言葉はさっきとは違い驚き、焦り、そして優しさが感じられる。
片方の肩だけでなく両肩に手を置いて向き合う体制を取る隆二。その手は暖かくて、移るように目がじわじわ熱を持つ。
「ここじゃ寒いから、ほら首に手回して」
動かない僕の手を首の後ろに回してくれ、言われた通り手と手を組めばお姫様抱っこで抱き上げ部屋まで向かい、中央にあるソファへゆっくり下された。
目線が合うように僕だけを座らせ、その前でしゃがみ込む隆二。
「美琴、どうした?」
「………。」
「美琴」
優しい声で何度も呼ばれる名前。
ああ、いつもの隆二だ。そう考えるとまた目が熱くなっていく。
「みこ「ごめんなさ、い…」…なんで?」
ほら、やっぱり聞いてくるよね。
「わか…ないっ。隆二がっいつもと違っくて…どうしたらいいか、わかっなくて、怖く…て。僕っ心配で、遅くなるって、忙しいっから、どこかで倒れて、ないかなって…。ごめっ、ごめんなさい。全部、僕が悪かった、から、怒らなっいでっ…」
次から次へと考える間もなく流れる声は、もう、何を言ってるのか、自分の事なのに理解出来なくて。それでも、何も言わず聞いてくれる隆二。
「そんなこと考えてたの?」
その言葉に体が震えたのが分かる。ああ、何言ったかは分からないけど、回答を間違えたんだ、と。それだけが分かった。
「っごめ」
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