嵐がやってきた

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最後の一文字を発する前に抱き締めてきた隆二。とっても暖かくて、ふわりと隆二の匂いが感じ取れ、そんないつもの事でも目が熱くなる。 「っごめんなさい」 「美琴」 「ごめんなさ「美琴!」」 謝罪を遮る様に僕の名前を呼ぶ。 その声はやはり優しがあって。 「もう謝らないで。全部俺が悪い。美琴に早く会いたいのに仕事が忙しくて、全然上手くいかなくて、やっと終わって帰ってきたら美琴が靴履いてたから焦って、返ってくるのが遅いし、返信もしてないから出て行こうとしたのかなって。理由を聞いたら心配だったからって言われて安心したけど、あんな態度を取った自分に腹が立って、凄く申し訳なくて、返す言葉が見つからなくて。本当にごめん美琴」 抱き締められながら聞く隆二の声は耳をスッと入って、全てを理解することが出来た。未だに謝りながら落ち着かせようと僕の背中をポンポンと叩いてくれる。 その間でやっと理解する。 仕事が忙しいのに恋人の僕のあの行動は自己満足の優しさなだけで本当は心配をかける、不安にさせる事だったんだ。 「美琴、本当にごめん」 「隆二…」 「ん?」 ああ、凄く優しい。 あやす様なその柔らかい一言。 「大好きだよ、不安にさせて…ごめんなさい」 「俺も愛してる、ごめんな」 自然と合わさる唇は軽く触れただけなのに、今までの中で一番意味のあるものになった。
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