嵐がやってきた

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一通り完成した料理をテーブルに並べていき、未だスヤスヤ寝息を立ててる彼を起こして椅子に座らせる。 起きただかりでぼーっとしているがゆっくりご飯を食べ進める彼に「美味しい?」と尋ねれば「いつも美味しい」と返答があり口角が上がるのをバレないよう食べ物を口に含んでいく。 食べ終わり、食器を洗ってくれてる間に服を着替えて用意を済ませる。洗い物が終わった彼にも制服と鞄を渡し、お互い靴を履き替える。 部屋の鍵が閉まる音を聞いてからエレベーターを押す。 「久しぶりに一緒に登校するね」 「俺は美琴とずっと一緒にいたい」 「ふふっ、僕もだよ」 そう言えば優しく笑って背中から抱きしめてくれる。こうやって二人の時はデレデレな彼。 しかし、寮を出て、正門を括れば。 「会長おはようございます!」 「ああ」 誰もが憧れる(少し無愛想な)カリスマ生徒会長へと変貌する。 周りが色めいていることなどお構いなしに僕の手を引く隆二は第二校舎の前で止まり「また昼休みな」と一言と、僕のおでこにキスを落として第一校舎へと歩いて行った。 そんな僕たちの一部始終を見て更に周りの声が大きくなるが、これはいわば日常的なことで既に慣れてしまっている自分がいる。
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