嵐がやってきた

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授業も終わりいつもの様に詩音と下校する。 今日詩音は頼んでいた小説の新刊が届いたから部屋に戻るらしい。つまり久しぶりの一人という事。隆二も帰りが遅くなるだろうし…。 「じゃ、先に降りるけど一人で大丈夫?」 「大丈夫だよ。今日はありがとう」 「何かあったら連絡して…………多分返信するから」 うん、詩音のそういう正直なところ好きだよ。 ありがとうと返しエレベーターの扉を閉めもう一つ上の階へ。 カードキーでロックを解除し中に入ると朝のまま。 部屋に到着するまでに和食にすることを決めていたからまたもすることが無い。掃除を何となく始めるが常に何らかの家事をしているから時間がかかる事は無く、あっという間に終わってしまう。こういう時趣味的なものがあればなと考えるも長続きしない。 メールをチェックするも特に大事なメールは……父さん、兄さん…。 お昼頃から複数通届いてる。 いつも一日一通、日記みたいなメールが届くけどこんなに届くのは珍しい。入学したての1ヶ月はこんな感じだったけど。 「殴られた頬は大丈夫かい?柔らかい真琴の頬を殴るなんて許せない。傷はないと聞いたけど本当?心配でならないよ。島崎については父さんに任せなさい。美琴は学校生活を引き続き満喫する様にね。でもまず、父さんのメールに返信する様に」 「返信が無いなんて心配だよ。僕は美琴がいないと生きている価値なんて無い。早く元気だと教えて。頬痛かったよね。すぐにそっちに行って撫でてあげたいけど今海外事業の方にトラブルがあって暫く日本に戻れそうにないんだ。こんな兄で本当にごめんね」 適当に開いた二通のメール。 もう、他のメールは開かないでおこうと思い二人に「大丈夫だよ!お仕事頑張って」と同じ文を作成し送信。
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