嵐がやってきた

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22時。 早い人なら既に就寝する時間になっても隆二が帰ってこない。迎えに行こうかと思ったが以前その行動で隆二に心配をかけてしまったから無闇に動けない。 何度携帯を開いても連絡は無い。 やっぱり行くべきかと玄関へ向かうとタイミングよく扉が開く。 「隆二!」 「……遅くなってごめん」 「ううん、何もなくて良かった」 「……仕事が溜まっててさ」 「そっか、ご飯食べれそう?」 「ああ、美琴のご飯が食べたい。でも、疲れてるから量は少し減らして欲しい」 「わかった、用意するからお風呂入ってて」 かなり疲れてる顔色に胸が痛む。 こんなに忙しい事は今までに無かった。 何があったんだろう。 手伝ってあげたい。 でも恋人とはいえ所詮は会長と一般生徒。 学校のことに関しては力になる事はできない。 だから帰ってきたら少しでも休めるように何だってしてあげたい。 いつもより少ない量の料理を並べ隆二の寝巻きを浴室の前に置いてあげる。 先に席につきお風呂から上がってくるのを待つと、肩にタオルをかけながら向かいの席に座る隆二。 「美琴も同じ量でいいのか?」 「うん、食べよっか」 「いただきます」 お互いに食べ始めたがそこに会話はない。 いつもなら学校であったことを話し合ったり、料理の感想を聞いたりするのに。 お風呂に入ったからなのか顔色は良くなったが何か考え事をしてるみたい。 邪魔したくないから話しかけないが少し気まずさを覚える。
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