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隆二………隆二……っ
胸に当てた手を離すことが出来ずただ、一人の名前だけを想う。
「美琴?」
体が震えたのを感じた。
久しぶりに呼ばれた名前。
「福士さん…」
後ろには生徒会会計の福士さんが僕をじっと見ていた。
何でここに居るのか聞こうとした瞬間、視界が真っ暗になった。それと同時に暖かい何かに包まれる。
「どうしたの美琴。そんな顔して」
「そんなって…どんな顔してます、か」
「んー、見ていて胸が締め付けられるような顔」
「………。」
「今、俺以外誰もいないよ」
「は、い…」
「頑張ったんだね。ほら、俺美琴抱き締めてるから今は顔見れないよ」
その言葉にストンと体が軽くなった。
いつもの語尾が伸びた声ではなく優しい声に視界が滲む。
ああ、僕、泣いてるんだ。
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