ウソツキの代償

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 本当はサンタなんていないという事実よりも、小園に大嫌いだと言われて振られたことの方が十五年間生きてきた中で、一番ショックだった。立ち直れそうもないほど深い傷を負ったが、無情にも時は流れる。  卒業式当日。  告白して振られてから、小園とは話していない。話しかける勇気もないし、向こうから話しかけて来そうもなかった。そりゃそうだ。大嫌いな人と話すことなどないだろう。 「おい、元気出せって」  小園に告白する前に『小園はお前のこと嫌いだ』と言った友人が肩を組んできた。 「おう」 「ま、今日で卒業だし、いい思い出になるって」 「だといいけど」  今辛いのに、そんな未来の話をされても素直に頷けない。でも、励ましてくれる友人が居るだけで少しは救われた。  式は何度も行った練習通りに滞りなく終わり、教室でそれぞれ卒業証書とそれを入れる筒をもらうとポンポン音を鳴らす恒例行事や、担任の先生からのありがたい言葉をもらった後、写真撮影と女子たちが卒業アルバムに友人同士でメッセージを書き合う作業に入った。 「なんか書き合う?」 「おお、いいぜ」  男子同士も女子に倣ってそれぞれの卒業アルバムのフリーページに「ありがとう」とか書き連ねる。 「あー、男子たちもやってるー。こっちにも回してよ」  結局男子も女子も入り混じって書くことになり、誰のアルバムに書いているのか分からなくなった。面倒臭くなったので全員に『今までありがとう』と自分のサインを添えて書いた。
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