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「すまん。語弊があった。俺らの子じゃないって言ったけど、そもそも」
「そもそも?」
「俺らは子供を生んでない」
「いやだから、それは俺が養子だからだろ」
再び芳雄は苛々し始めた。
「そういうことじゃあないんだ。えーと、お前は、お前は、存在しない」
重幸は顔をくしゃっとさせて、厄介ものを追い払ったかのような表情をした。
「は?」
意味がわからなかった。
当然だ。矛盾してるんだから。
「戸惑うのも無理はない。お前は、俺らの・・・・・・嘘の産物だ」
重幸は手のひらで顔を覆っていた。
「俺らは子供作らずに、夫婦2人でのんびり暮らそう、そう言ってた。だが、恵美子側のご両親はそうはいかなかった」
何かの栓が抜けたかのように、重幸は語り出した。
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