消滅

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「お会計、22,896円です」 2人にしては結構行ったな、と財布の中を見ている坂池を見つめた。 すると、坂池も芳雄を見つめてきた。 大方、現金が足りなかったのだろう。 キャッシュレスに依存しすぎているからだ、と芳雄は苦笑いで財布を取り出した。 「うっそでえええええええす」 財布をぴしゃりと閉じて、坂池が叫んだ。 「だから声でかいって。何が嘘なの?」 芳雄は辺りを見渡し、目が合った人にはお辞儀をしていた。 「いや、だから、今日奢るって話。あれ嘘な」 「は?」 その場だけ、時間の流れが遅くなったようだった。 「ごめん。嘘だったんだ。もちろん、初めから嘘つくつもりだった。もっと早く言えばよかったな。ごめんな」 何故だか本当に申し訳なさそうに謝る坂池。 どうしようもないので、しょうがなく芳雄がその場は払った。
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