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「本当に、本当にごめんな」
帰り際までずっと坂池は謝り続けていた。
ただ、謝罪の内容は、
『嘘だともっと早く明かすべきだった』
ということだった。
嘘をついたことについては、全く悪びれる素振りはなかった。
「今日は本当にごめんな。じゃあ。ごちそうさま」
最後に手を合わせて帰っていった。
芳雄も自宅へと歩み始めた。
実は、芳雄はもう慣れっこだった。
これまでに数々の嘘を、多くの、というよりも自分以外の人間みなにつかれてきた。
嘘だと薄々は思いつつも、最終的に何故か信じてしまう。
その度、虚しい気持ちに苛まれるのは分かっているが、そういう性分だから仕方がない。
芳雄はそう割り切っていた。
その代わり、自分は何があっても嘘だけはつかない、と芳雄は決めていた。
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