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ジャスティーン様は私の秘密を実に楽し気に笑い飛ばしてから、お互いの行動を黙認するように提案してきました。私に否やがあろうはずもなく、私たちは秘密の共有者となりました。
もっとも、猫に関してはジャスティーン様が寮にかけあってくださって、室内で飼う許可をもぎ取ってくれたため、私が隠れて外に出る理由はなくなったのですが。
その後も夜中の鍛錬を続けていたジャスティーン様は、ご自分の部屋に帰る前に私の部屋を経由することがしばしばありました。昼間話す機会がなくても、私たちはそこでしっかりと友情をはぐくみ、親友と呼べる間柄になったのです。畏れ多いことですが。
ハイレベル美形で鬼モテな上に身分も高く王太子の婚約者であるジャスティーン様。普通なら近寄る気も起きない相手であり、親友面などしようものなら、妬みひがみからどんな嫌がらせを受けるか知れたものではありません。
怯える私に対し「絶対に守るから」とジャスティーン様は宣言し、遠くから突き刺さる視線だけはどうしようもないものの、いじめのようなものとは無縁に過ごすことができました。このまま、なんとか無事に卒業を迎えられそうだと思っていた矢先に。
この間柄に、母が目を付けたのでした。
――ジャスティーン様なら、アーノルド様に近づく機会なんていくらでもあるでしょう。ちょっとお願いしておそばに連れて行ってもらえばいいじゃない。それで惚れ薬を盛ってしまえばいいのよ。
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