2人が本棚に入れています
本棚に追加
「今更なんなんだよ!? 『悪かった』だと? そんなんじゃなぁ、警察は要らねぇんだよ」
「晴」
父さんが悲しそうにした時だった。
「ただいまー」
緊迫した空気の中、頭に花が咲いた様な声が響いた。
「どうしたの2人とも。怖い顔して」
「いや、その」
しどろもどろになった父さんを横目に俺は宣言した。
「俺、高校は全寮制の所にしようと思う」
父さんは俯き、母さんはポカンと口を開けた。そして数秒後、目は吊り上がり、今にもツノが生えてきそうな般若の顔になった。
「全寮制の学校? 家から遠いじゃない。何かあったらすぐに駆けつけられないのよ? そんなのダメよ」
唾を飛ばす勢いで言う母さんに、父さんはそっと肩を抱いた。
「可愛い子には旅をさせろって言うじゃないか。それにほら……箔が付いて近所の皆んなも母さんを一目置くぞ」
母さんはいつも近所の目が気になる人だった。
父さんの説得のかいあって2週間後、母さんは渋々寮生活を許可した。
最初のコメントを投稿しよう!