イ ツ ワ リ

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 高校生活は、本当に毎日が楽しかった。県庁所在地(都会)にある学校だったため、俺の事を知る人は誰1人いなかった。  それが、とても幸せだった。  月日は流れ、高校三年生になった俺は人生の岐路に立っていた。  そう。進学か就職か、だ。 「晴。大学に進みたいのなら、そうしなさい。学費は父さんが出すから」  そんな父さんの言葉をありがたく頂戴し(でも、未だに父さんは嫌いだ)俺は大学に進学する事に決めた。  しかし更に問題があった。それはどこの大学に進学するかだった。  この3年間、何度も母さんから電話がかかってきた。それは決まって「いつ実家に帰るのか」だった。  そんな電話に俺は、嫌気がさした。  母さんの手が届かないくらい遠く離れたい、そう思った。  でも、そんな事許されるのだろか。  俺が帰らなかったら母さんの矛先が姉ちゃんに向くのではないか。それが心配だった。  悩む俺に寄り添ってくれたのは実家暮らしの姉ちゃんと、彼氏だった。 「晴ちゃん、私の事は気にしないで。私は大学を卒業したら、地元で働いてお婿さんとるから。お母さんの呪いを聞いちゃダメ」 「でも……」 「晴ちゃんはあの人から逃げるべき。それでもっと都会に行くの。こんな狂った田舎を早く捨てて」  彼氏の康二も姉ちゃんと同じ意見だった。 「晴、お前の所は酷い親だな。そんな親を気にして県内に進学する事ないと思う。俺と一緒に東京の大学に行かないか?」  かくして俺は、上京する事に決めた。
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